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TOOLING

写し取れなかった
ルールブック

採点係が、古い点数を配り続けていた話。

01

採点係は、メモを取る

コードを検査する道具があります。宿題を採点する先生のようなものです。

毎回ぜんぶ読み直すと遅い。だから先生はメモを取ります。「この答案はもう見た。合格」。次からは、そのメモを見るだけ。

はじめて読む21秒
メモを見る5秒
メモがあると 4 倍以上速い。だからみんなメモを使う。
02

メモを信じてよい条件は、ふたつ

先生は、メモを使う前にふたつ確かめます。

答案 答案は 変わってない? 門 その1 ルールは 変わってない? 門 その2 前の点数を そのまま使う 採点し直す
どちらかの門で「変わった」と分かれば、ちゃんと読み直す。仕組みとしては正しい。
03

ところが、門その2 は目が悪い

「ルールは変わってない?」を確かめるために、先生はルールを紙に書き写して、その紙の指紋を取ります。指紋が同じなら、ルールは同じ。

でも、書き写せるのは文字と数字だけ。ルールの本体は機械です。機械は紙に書き写せません。だから 書き写すと消えてしまう

先生の設定 文字 数字 採点ルール=機械 紙に書き写す = 指紋のもと 写し取った紙 文字 数字 機械は写らない 機械をそっくり別物に取り替えても、この紙は 1 文字も変わらない
だから「ルールは変わってない?」という門は、ルールが丸ごと入れ替わっても「変わってません」と答えてしまう。
04

見えなくなっていたもの、3つ

この「写らない」せいで、変えても気づかれないものが 3 つありました。

採点ルールそのもの

自分たちで書いたルールを直しても、古い点数が返ってきていた。

採点中に見る別の紙

あるルールは、採点しながら「使ってよい色の一覧表」を見にいく。その一覧表を書き換えても気づかれない。

よそから借りたルール

他所製のルールを新しい版に入れ替えても、同じ理由で気づかれない。

05

直しかた:機械を撮って、番号を書いておく

機械は紙に書き写せない。なら、写真を撮って、その写真の番号を書いておけばいい

番号はただの文字なので、ちゃんと写ります。機械が変われば番号も変わる。門その2 は、やっと機械の入れ替えに気づけるようになりました。

機械 撮る a3f8c1d0… ただの文字 入れる 先生の設定 文字 数字 a3f8c1d0… これは紙に写る → 指紋が変わる
機械そのものを見るのではなく、機械の「番号」を設定の中に置く。あとは先生が自分で気づいてくれる。
06

本当に直ったのか

実際に測りました。ルールを 1 行だけ書き換えて、読み直しが起きるかどうか。

はじめて読む21秒
メモを使う5秒
採点ルールを 1 行書き換えた19秒
またメモを使う5秒
ルールの練習問題だけ書き換えた5秒
3 行目が 19 秒=ちゃんと読み直した証拠。最後の行が 5 秒なのも大事で、採点に関係ない紙まで疑って読み直したりはしない。